公開:2019/05/23 伊藤 みさ │更新:2020/07/03

訪れておきたい被爆校舎、本川小学校・袋町小学校の平和資料館で広島の歴史を肌で学ぶ

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広島の原爆 爆心地に近い2つの小学校(本川小学校、袋町小学校)には、その凄まじい被害と当時の様子を残し今に伝える展示物や資料が多く見られるよう平和資料館があります

被爆地・広島には、戦争の惨劇を忘れない為に残された資料や施設が様々あります。アメリカ大統領も訪問した原爆ドーム平和記念資料館などが代表的ですが、

爆心地からほど近い、広島市中区 本川町(ほんかわちょう)と袋町(ふくろまち)にある小学校の校内にも「平和資料館」があります。

訪れておきたい被爆校舎、本川小学校・袋町小学校の平和資料館で広島の歴史を肌で学ぶ
本川小学校(左)と袋町小学校(右)

これらの小学校にある平和資料館は、学校の校舎として使われていた当時の建物を補修・改修して残された、被爆建物です。

広島市中心部の風景は、時を追うごとに美しく整備されていますが、そんな街なかにある小学校の一角に残るこれらの資料館は、一歩足を踏み入れると1945年8月6日の原爆投下後の風景が見えてくるような、当時の空気を肌で感じられる特別な場所。

本川小学校平和資料館 折り鶴
どちらの平和資料館にも、平和を願う折り鶴が多数寄せられている

原爆によって焼野原となった広島市中心部の当時の建物は、木造が主でした。そんな中、珍しく鉄筋コンクリート造だったことから、本川尋常高等小学校(現在の本川小学校)と袋町尋常高等小学校(現在の袋町小学校)は、一部形が残ったのだとか。

本川小学校平和資料館に残る広島市内の空撮写真
原爆投下の前(写真上)と後(写真下)を比較する写真

奇跡的に残った一部の校舎は、翌日から「救護所」として使われた後、補修・修繕をして翌年には授業を再開しています。

やがて新校舎が建てられますが、被爆建物として旧校舎の一部を保存。現在はどちらの学校も旧校舎が「資料館」の役割を担っています。

肌で感じて胸にズシンと響く、本川小学校 平和資料館

広島市立本川小学校は、爆心地からわずか350mの場所にあります。

本川小学校 正門からの写真

中沢啓治さんが描いた『はだしのゲン』に登場する学校としても知られています。

本川小学校の平和資料館へは、まず正門から入り右手の校舎にある「受付」へ立ち寄り、見学者バッジを受け取ってから進みます。(休日に訪れる場合は「北門」から入り見学へ)

子供たちの元気な声が聞こえてくる校内を奥へ進んでいくと、旧校舎が見えてきました。

本川小学校平和資料館 へと続く通路
この渡り廊下の奥に平和資料館がある

これが、かつては校舎として使われていた本川小学校の平和資料館。

本川小学校平和資料館 外観

ドアを開けると、入口からすでに言葉にならない雰囲気に圧倒されます。

本川小学校平和資料館 入口

本川小学校平和資料館 館内の様子2/

焼け焦げた配電盤や電源、平成時代に校庭の土の中から掘り起こされた遺物(熱で溶けて固まったもの、熱風・爆風にさらされた物など)の展示も。

本川小学校平和資料館 館内の様子4

地下の広い部屋には、平成4年(1992年)7月に平和記念資料館より寄贈された、被爆時の広島の様子を再現した模型が設置されていました。

本川小学校平和資料館 館内の様子3
広島の街と、原子爆弾が炸裂した地点を表わす模型

また、この校舎の被爆前の様子や資料館として保存されるに至るまでの様子も、パネルで紹介されています。

本川小学校平和資料館 館内の様子5

さらに、平和公園内にある原爆死没者慰霊碑の中央に刻まれた碑文「安らかに眠ってください 過ちは繰返しませぬから」の元となった書が展示されています。

本川小学校平和資料館 館内の様子6

展示物の説明書きは長すぎず分かりやすい。原爆ドームは内部に入ることは出来ませんが、本川小学校の旧校舎は建物内部まで見られるからこそ感じられるものがありました。

校舎の壁に残された「チョークの伝言」を保存する袋町小学校

袋町小学校は、平和公園の西側を流れる元安川(もとやすがわ)を挟み、繁華街のすぐ近くにあります。

広島市 袋町小学校 外観
門のそばには警備員が立つ

袋町小学校には、市営の地下自転車等駐車場や警備員付きの正門など、街のど真ん中にある学校ならではの近代的な造りになっています。そして、渡り廊下のすぐ下にあるのが「袋町小学校平和資料館」。

袋町小学校平和資料館 外観
渡り廊下の下に残される、袋町小学校平和資料館

袋町小学校平和資料館 外観2

本通り商店街もすぐ近くという賑やかな場所ですが、この資料館もまた、当時は小学校の校舎として使われていた建物でした。

資料館の入口で簡単な記帳を済ませたら、内部を見学できます。

袋町小学校平和資料館 館内の様子
窓の外には校庭が見える

救護所として使用された校舎には、負傷者だけでなく行方が分からなくなった家族を探しに来る人も多く訪れ、人々の安否を尋ねる場になっていたことから、

ススで黒くなった校舎の壁には、チョークで自分の名前や居場所(避難場所)を書き残したメッセージが沢山残されていました。

それらは被爆後の建物修繕時の壁の塗り替えで消えていたと思われていましたが、平成11年にその壁をはがしたところ、当時の伝言が見つかり、

袋町小学校平和資料館 館内の様子2
伝言を撮影されたものを実物大に再現

爆風でゆがんだ地下の鉄製ドアなどと共に保存されています。

袋町小学校平和資料館 館内の様子3

袋町小学校平和資料館 館内の様子4

現物や資料、ビデオなどで袋町小学校の被爆後の歴史を学べる場所となっています。

袋町小学校平和資料館 館内の様子5

広島県民は、小学生の頃には夏になると毎年のように平和学習を受けていますが、この2つの資料館からはまた違うものを感じられると思います。是非、一度は訪れてほしい場所です。

本川小学校 平和資料館の施設概要

本川小学校平和資料館
住所 広島市中区本川町1丁目5-39
電話 082-232-3431
見学時間 9時~17時 ※受付が必要です。
入館料 無料
備考 来館者用の駐車場はなし。最寄りのコインパーキングなどを利用

袋町小学校 平和資料館の施設概要

袋町小学校平和資料館
住所 広島市中区袋町6-36
問い合わせ 082-541-5345
見学時間 9時~17時
休館日 12月28日~翌年1月4日
入館料 無料

※いずれも内容は執筆時のもの。最新情報を確認してからお出かけ下さい。

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