公開:2015/10/19 伊藤 みさ │更新:2021/09/05
翁座、地域に愛されていた上下町の娯楽施設!映画館としての利用も
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府中市上下町に残る、芝居小屋・翁座(おきなざ)が限定公開。大正時代に建てられた貴重な建築物の内部の様子を、写真と動画でたっぷりご紹介します。
翁座(おきなざ)は、大正時代に造られた劇場。この劇場は、お芝居や映画の上映などが行われていた娯楽施設です。
府中市上下町の白壁の町並みの通りから少しはずれたところにある翁座は、普段は一般公開されていない建物ですが、まつりの日にあわせ限定公開が実施されました。
※2021年4月より毎週土日祝日に一般公開されることになりました。
現在は閉館している翁座ですが、建てられた当初は上下に立派な劇場を!と、有志がお金を出し合ってつくられた芝居小屋でした。時代の移り変わりと共に、映画館など様々な用途で利用された娯楽施設でした。
(看板には「映画と実演」の文字)
木造でとても味のあるの翁座(おきなざ)の貴重な内部の様子を、詳しくご紹介します。
演劇の仕掛けがたくさん!翁座の内部の様子
翁座の中には、舞台が見えやすいようにと、舞台用照明の他は2階席の足元から吊るしたちょうちんのみで照らされています。
以下の動画は、扇座の内部の様子。
翁座のモデルは、京都府にある歌舞伎・演劇劇場の「南座」。当時、上下に本格的な劇場を作りたいと京都まで南座を見学しに行き、そこでスケッチをとり、真似てつくったのだそう。
舞台に向かって左手に花道があり、舞台へと続きます。見学会では自由に舞台へも立ち入る事が出来、係の方がいろいろその仕掛けについて教えてくれました。
(舞台から客席を観た様子)
例えば、花道や舞台の中央には四角い切り込みが行っていて、場面によってキャストが下から登場。
そのため、舞台そでには「奈落」と呼ばれる床下通路が作られているのですが、これがけっこう深い。ガイドの方が実際に開けて見せてくれましたが、大人の男性が立って移動できるくらいの空間がありました。
舞台の床には、大きな丸い切込みも入っており、これはセットチェンジの時に使われていた回転式の装置。舞台はターンテーブルのようになっており、暗転の時に180度回転させて演劇の場面を切り替えていたのだそうです。
翁座は、時代の移り変わりとともに、芝居小屋から映画館、縫製工場…と利用方法は変更されてきました。
舞台裏にある楽屋は、居住空間として賃貸していた時期も。通路が必要になり舞台の一部を切断したため、現在は舞台を回転させる事はできないのだとか。
舞台の上は竹で組んだ通路になっています。
ここを人が行き来し、花吹雪や垂れ幕などの小道具を仕込んでいたよう。
翁座は、欽ちゃんも絶賛した劇場だった
2階へも自由に立ち入る事ができます。上から見る舞台は全体が見渡せ、一味違った趣があっていい。
昔は床部分に畳を敷き、観客はここに座布団を敷い見ていたそう。後ろの人が見えやすいように…と少し傾斜もつけられています。
観覧料は1階部分も2階部分もすべて同じ料金で、全席自由。一番人気なのは演者に一番近い、「花道と舞台に一番近い位置」だったそうですが、落ち着いて全体を楽しみたいという通な人は、二階の中央から見ていた人も。
また、天井部分は縦横の辺と四隅が丸みを帯びたつくりになっています。建設当時、音響設備などは無かったが、芝居は声の響きが命なので、アール(丸み)のついた折り上げ天井に。
これは声や音の響きがよくなるようにと工夫されたもので、現代の役者さんから見ても「良い作り。閉館はもったいない」と惜しまれているそうです。あの萩本欽一さんも「まだ使ったほうが良い」と言ってくれた事があるのだとか。
まだまだ現役で使えそうなくらい綺麗に手入れされており、素人目から見てももったいない感じ。
実際のところは、屋根裏の雨漏りなどのために数百万かけて修繕をしたりと維持するのにもかなり費用がかかっているそう。現在は「翁座をこの町に残したい」という想いから、劇場の権利を持つ方が自費で管理されているとのこと。
入場料(200円)を管理協力費として集められています。
翁座(おきなざ) | |
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住所 | 広島県府中市上下町上下2077 |
一般開放 | 2021年4月より、毎週土日祝日に一般公開を実施 |
入場料 | 200円 |
問合せ | 0847-54-2652(府中市観光協会上下支部) |
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