廃止の「スカイレール」広島の団地・みどり坂の空飛ぶゴンドラは、日本唯一の交通システム

公開：2023/11/12 Mika Itoh │更新：2023/11/13

広島で団地上空を駆け上がっていくゴンドラ『スカイレール』。去年、廃止されることが発表されると全国からも注目を集めました。

というのも『スカイレール』は、懸垂式（吊下げ式）モノレールとロープウェイの技術を融合させた、日本国内で唯一ここ広島にしか無い交通システムなのです。

スカイレールとは

スカイレールは1998年8月に開業。JR瀬野駅と、その背後にある団地を結ぶ移動手段として誕生しました。その距離はわずか1.3kmで、高低差は約160m。

全国でも類をみないユニークなスタイルで誕生した近距離輸送の「スカイレール」は、国土交通省によると総工費は約62億円。急斜面でも設置可能で工期も短く、従来のモノレールなどに比べて建設費も3分の1と安い。

さらに、運営費用も低コスト・環境にも優しいなどメリットの多い交通システムのため、当時は今後の活躍が期待されていたようです。

スカイレールは住宅団地「みどり坂」の大きなアピールポイントとして、開業時にはテレビCMなどにも登場。団地名にも『スカイレールタウンみどり坂』とスカイレールの名前が付けられています。

しかし、開業から25年で廃止することになってしまった、スカイレール。低コストで環境にも優しい期待の交通システムだったはずのスカイレールが

廃止することになった理由は、何だったのでしょうか？

運営会社のスカイレールサービス株式会社は廃止について、利用客数が想定を大きく下回り、1年に1億円を超える赤字が2018年から続いたことが理由と説明。

現在も1日に1300人がスカイレールを利用していると言われていますが、開業当初はその3倍以上の利用者を見込んでいたようです。

筆者は車で近くを通るたびに「一度乗ってみたいなぁ」と思っていました。しかし住宅地を往復するための交通システムなので、なかなか利用機会がなかったのですが、

廃止されることが発表され「終了するまでには1度は乗っておきたい！」と、スカイレールに初めて乗ってきました。

スカイレールは、中間にある駅を含め3つの駅を行き来しています。

スカイレールの始発駅「みどり口駅」は、JR瀬野駅に併設されています。

改札口は、階段を上がって2階にあります。改札の横にある券売機で乗車券を購入（片道170円）。

乗車券に記載されているQRコードを改札にかざして乗り場に向かいます。

扉が開いているので、乗り込みます。スカイレールは座席が8席。

定員は25人だそうですが、そんなにギュウギュウに乗ったらちょっとドキドキしちゃいそうなくらい運行中は揺れます。

朝や夕方などの通勤時間や週末を除ければ、ゆったりと乗ることが出来そう。

スカイレールは無人で動いています。定刻になるとブザーが鳴って扉が閉まり、運行開始！

スカイレールは全長1.3kmの距離を6分弱でゆっくり上がっていきます。平均時速は約15km。

中間地点の「みどり中街駅」に一時停車し、

再び上がっていきます。ここからはどんどん高くなっていくので景色が大きく広がって見えます。

急勾配の坂を上がっていくスカイレール。

車の頭上を越えていきます。

すごい眺め！なかなかスリリング。

あっという間に、終点の「みどり中央駅」に到着です。

スカイレールが上がっていくと、どんどん遠くまで見渡すことが出来て眺めがよく気持ちいい。ちょうど木々が色づき始めていた頃だったので、紅葉する街路樹も綺麗でした。

筆者と同じく「最後に乗っておきたい」と県内からはもちろん、他県からやってくる人も少なくないようです。全国でここにしかない珍しい交通システムが終わってしまうのはとても寂しいですね。

スカイレールは2024年4月末で終了となり、以降は電気自動車の路線バスに切り替わる予定となっています。

スカイレール
住所	広島県広島市安芸区瀬野1-41（スカイレールみどり口駅）
運行時間	平日 6時38分～22時10分土日祝 6時55分～22時10分通勤時間帯を除き、1時間に約4～5本
運賃	片道 170円
駐車場	みどり口駅前にコインパーキング有り
廃止日	スカイレール運行は2024年4月末までの予定
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