広島で被爆遺構 限定展示スタート、かつての暮らしの跡 直に感じて
広島市では被爆75年を迎えることを機に、平和記念公園内で被爆遺構の限定展示がスタートしました。期間は2020年8月5日~16日まで。今後は展示施設がつくられる計画
被爆75年を迎えた広島で「被爆の実相」を伝えていく取り組みのひとつが、平和公園の敷地内にて期間限定で公開されています。
2020年8月5日からはじまったのは、平和公園の地下に眠る旧中島地区の「被爆遺構」の展示。
広島平和記念公園の一帯は被爆前、民家や商家などが密集した“中島地区”と呼ばれる繁華街がありました。原爆によって焼野原となった後、この場所にあった瓦礫を平坦化し盛り土をして、公園として整備されました。
被爆から9年後の1954年に公園は完成しましたが、公園の下には被爆当時にあった建物の基礎などが今も残っています。
広島市は被爆の実相を発信する新たな取り組みとして平和公園の一部を掘って、被爆当時の建物の跡(被爆遺構)の展示をスタートしました。
被爆遺構の展示が行われているのは平和公園の東側、広島平和記念資料館と原爆死没者追悼平和祈念館の中間あたり。
発掘調査によって地中から見つかったものの一部(3.2m×3.2m)を、2020年8月5日~16日まで公開しています。
今後は被爆遺構の展示施設建設の計画も
今回期間限定で公開されている被爆遺構は、宅地の境界を示す石材の列や、側溝など。
凄惨な現場の展示というわけではないため、初めて平和公園を訪れる方の場合は、事前に平和記念資料館やレストハウスにある展示を見た後に、こちらを訪れたほうがイメージしやすいかもしれません。
現在、美しく整備されている平和公園ですが、その下にはかつてあった暮らしの痕跡が残されています。被爆遺構は、それらを示す展示となっています。
この度の期間限定展示は被爆75年を迎える2020年8月6日前後に一時展示されるもので、8月16日までの予定。
出土した遺構の全体図と、今回公開された範囲 / 現地で配布された資料
今回展示されたのは発掘されたものの一部。今後は遺構を保存しつつ、この被爆前の町並みや暮らしの様子を紹介する建屋を建設することが計画されています。
平和公園を訪れる人たちに、本物の記憶を
被爆から70年以上が経過し、被爆者は高齢化しています。
広島市が公開した資料によると、修学旅行生など戦争を知らない世代で平和記念公園を訪れる人の中には「原爆が落ちた場所が広い公園で良かった」といった内容など、勘違いしている子供たちの発言もあったといいます。
実体験を伝えてくれる被爆者が少なくなる中、被爆の実相を後世に正しく伝えていくために、あらゆる取り組みをすすめていく必要がある…とし、
その計画の一つとして被爆遺構展示が今回行われ、今後は建屋建設の計画も進められていく。
平和記念公園が整備されるまでの過程を示した図 / 現地で配布された資料
被爆前の姿を今に残すものとしては、世界遺産となっている原爆ドームやレストハウスなどが平和公園内にあり、平和公園のすぐそばにある本川小学校も、見学が可能となっています。
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