公開:2020/07/03 Mika Itoh │更新:2020/07/03

広島「レストハウス」再オープン、爪痕残る展示スペースや喫茶コーナー・観光案内所など

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広島市中区の平和記念公園レストハウスが改修工事を終えリニューアル。1階と2階は観光案内所や売店・休憩所やカフェなどレストハウスとしての役割を引き継ぎ、3階と地下が主な展示フロアになっています。

老朽化が進み、改修工事が行われていた平和公園(広島市中区)内のレストハウスが、2020年7月1日にリニューアルオープンしました。

広島「レストハウス」再オープン、爪痕残る展示スペースや喫茶コーナー・観光案内所など

レストハウスは、爆心地から最も近い場所に現存する「被爆建物」。爆心地からわずか170mの場所にあったこの建物は、「大正屋呉服店」として建てられたものでした。

2016年に映画化され注目を集めた「この世界の片隅に」の中でも、このモダンな外観や、大正屋呉服店の周辺(旧・中島本町)の街並みが描かれています。

大正屋呉服店からレストハウスまで90年以上、同じ場所で

大正屋呉服店は1929年(昭和4年)に完成。この建物が建つ一帯は現在、平和公園になっていますが、当時この場所は広島で1番の繁華街でした。

大正屋呉服店は15年間、この地でお店を営んでいましたが、戦争が激化して経済統制が進められ、県燃料配給統制組合が買収。以後、被爆するまでの約1年間は「燃料会館」に。

大正屋呉服店からレストハウスまで90年以上、同じ場所で

1945年8月6日に原爆が投下され、この建物も地下室を除いて全焼しましたが、当時としては珍しい鉄筋コンクリート造(地上3階・地下1階)だったため建物としての基本的形態をとどめており、直ちに改修して再び燃料会館として利用されます。

その後この建物は広島市が買取り、1957年から復興事務所となり復興の拠点に。1982年以降は、平和公園のレストハウス(休憩所)として整備され利用されてきました。

レストハウスの建物前に設置されている石碑には、呉服店開店当時の様子が写真で紹介されています。

大正屋呉服店の面影再現、広島・平和公園のレストハウス

今回の改修工事では、呉服店だった頃の姿に近づけようと、外壁は当時のものに近い色合いになっています。

後ろ姿はこんな感じ。

広島「レストハウス」の裏側、増築部分

元々あった建物の南側には、バリアフリーに対応するため元の建物と繋がる別棟が増築されており、以前よりも少し広くなりました。増築部分には、地下にも下りられる階段やエレベーター、トイレなどが新しく整備されています。

レストハウス1F 売店と観光案内所

以前は薄暗い印象のあったレストハウスの入口も、リニューアルで明るくなり入りやすい雰囲気に変身。

レストハウス入口、ビフォーアフター
レストハウス入口 / ビフォー(左)アフター(右)

入ってすぐ左手には観光案内所があり、県内の観光パンフレットが置かれているほか、平和公園を巡るピースツアーなどの受付も行う。

レストハウス 観光案内所

売店では、広島の代表的なお土産やご当地グルメ、

レストハウスの売店・お土産売場

広島レストハウスの1F売店

広島平和公園に届く「折り鶴」の再生紙でつくった商品などが並んでいます。

レストハウス1F 展示スペース

レストハウス1F、売店横にあるスロープを上がっていくと、奥にはこの建物の建設当時につくられた地下へ通じる階段がそのまま残され、見学できるようになっています。

広島レストハウス 地下へ続く当時の階段

この階段は、地下からも見学可能。1Fにはこのほか、被爆時の火災で黒くすすけたコンクリート天井も残されています。

広島レストハウス 1F保存展示

続いて、2階へ向かいます。

レストハウス2F 休憩喫茶ホール

2階に上がると、階段をまたいで北側・南側に休憩ホールがあります。以下は北側。

レストハウス2F カフェと無料休憩スペース

北側のホールには喫茶カウンターがあり、カフェのような雰囲気。窓から見える外の緑も綺麗です。

レストハウス2F カフェスペース

メニューはパンやサンドイッチ・クッキー・チョコレートなどの軽食と、コーヒーなどドリンクメニューが用意されています。

レストハウス2F 喫茶カウンター

レストハウス2F 喫茶メニュー

なお、この休憩ホールには自動販売機も2台、設置されていますよ。

レストハウス2F 喫茶カウンターの隣に、被爆ピアノの常設展示

喫茶カウンターの横には、被爆ピアノの常設展示あり。

広島市レストハウス2F 被爆ピアノ展示

このピアノは爆心地から2.5kmの、河本明子さんの自宅にあったピアノ。明子さんは爆心地から1kmのところに居た為、19歳で被爆死されました。

ピアノも2.5kmの場所で爆風を受け、多くのガラス片で傷ついています。

レストハウス2F 南側にも無料の「休憩ホール2」

レストハウス2Fには、階段を挟んで南側にも「休憩ホール2」があり。

どちらも無料で使える休憩スペースですが、喫茶カウンターで注文しない場合、南側の休憩ホールのほうが気楽に利用しやすい雰囲気があります。

レストハウス2F カフェと無料休憩スペース

手洗い場やゴミ箱もあり。また、同フロアの端にトイレもあります。

レストハウス2F 展示スペース

さきほどの「休憩ホール2」の向かい側には、当時の階段が残されていたり、

レストハウス2F 無料休憩スペース横に展示スペース

レストハウス2F 休憩スペース横に展示スペース

通路の天井部分には小窓があり、

レストハウス2F 休憩スペース通路天井梁の損傷

1945年の原爆投下の爆風で損傷を受けた当時の天井裏の鉄筋コンクリート梁(はり)が残され、展示されています。

レストハウス3F 旧中島地区の展示室

レストハウスの3Fは、1フロアまるごと展示室になっています。

レストハウス3F 旧中島地区の展示室

ここには、レストハウスが建っている旧中島地区の被爆前の街の姿など、原爆によって奪われた街や人々の営みを写真や映像などで紹介。

フロアの中央には、原爆資料館に展示されていたジオラマも設置されています。

レストハウス3F 原爆資料館に展示されていたジオラマ

レストハウス3F 旧中島地区のジオラマ

レストハウス3F ジオラマで見る旧中島町

以下は、大正屋呉服店の従業員が着ていた法被。

レストハウス3F 大正屋呉服店の法被

大正屋呉服店の社員だった若狭金次郎さんが着ていたものを、お孫さんが寄贈。

レストハウス3F この世界の片隅に 映像

また、アニメ映画化された「この世界の片隅に」で登場する中島町のシーンなども、映像で紹介されています。

レストハウス地下 保存展示と唯一生き残った野村さんの体験

レストハウスの地下は、被爆した当時の状況を出来るだけ残した「保存展示」。

レストハウス地下 保存展示

地下の半分は展示で、残りの半分が被爆時に近い状態で地下室を残した保存展示となっています。

広島レストハウス地下 保存展示

被爆当時、この建物で働いていた人は37人。そのうち36人が亡くなったが、偶然 地下室にいた野村英三さん(享年82年)だけが奇跡的に生き残ったのだそう。

その野村さんの被爆体験や証言・手記などを、写真や資料で紹介しています。

レストハウス地下 野村英三さんの体験紹介

新しくなったレストハウスは、1階と2階はレストハウスとしての役割が引き継がれており、3階と地下が主な展示フロアになっています。

平和記念公園レストハウス
住所 広島県広島市中区中島町1-1 広島平和記念公園
料金 入館無料
定休日 無し(年中無休)
問合せ 事務局 082-546-9133 / 観光案内 082-247-6738
レストハウス・展示室 8:30~17:00(12月~2月)
8:30~18:00(3月~11月)
8:30~19:00(8月)
8:30~20:00(8月5日)
7:30~20:00(8月6日)
ショップ 9:00~17:00(12月~2月)
9:00~18:00(3月~11月)
9:00~19:30(8月5日)
7:30~19:30(8月6日)
喫茶 9:00~17:00(以下日程を除く)
9:00~19:00(8月5日)
7:30~19:00(8月6日)
備考 バリアフリー、トイレ(1~3F)、無料公衆無線LANサービス(HIROSHIMA FREE Wi-Fi)あり
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