公開:2012/08/14 Mika Itoh │更新:2021/11/03
うさぎ島は「毒ガス島」だった、大久野島(広島県竹原市)の歴史
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- 竹原市 スポット 観光
「うさぎ島」として近年 観光客が増えている人気スポットの大久野島(広島県竹原市)はかつて、極秘に旧日本陸軍の毒ガスを作る「毒ガス島」でした。今も砲台跡や毒ガス貯蔵庫跡などが残っています。
広島県竹原市の大久野島は、瀬戸内海に浮かぶ小さな島。「うさぎ島」としても有名な島で、近年 観光客が増えている人気スポットでもあります。
この大久野島、最近では可愛いウサギが主に取り上げられることが多いですが、戦時中は極秘に旧日本陸軍の毒ガスを作る「毒ガス島」でした。当時、毒ガス工場の存在は秘密にされていたため、陸軍が発行した地図からは、島の存在が消されていたといいます。
地図からも消されていた大久野島には、現在も毒ガスによって土壌汚染された危険な地域があるため、立ち入り禁止エリアも存在するようです。また、島内のいたるところに砲台跡などがあり、
幸せの象徴としてウサギたちが走り回る反面、悲しい傷や歴史を抱えた島でもあります。そんな歴史が、島内には傷跡として残されています。
うさぎの楽園・大久野島が「毒ガス島」だった時代
大久野島の島内は、ぐるっと一周 自転車で散策することができます。
その道中には、たくさんのウサギたちとも出会えるのですが、所々に砲台跡地なども現れます。
砲台跡は、大久野島の北部・中部・南部にそれぞれあり、
そこで仮眠をとることが出来る兵舎も作られていたり、毒ガスを作るための原料置場として使われていたスペースも、残されていました。
大久野島に残る、発電所跡や貯蔵庫跡
以下は毒ガス工場に電力を供給していたという、発電所跡。
動画は以下より。
カメラ小僧たちが建物の中に入って撮影している姿もあったのですが、ここは立ち入り禁止の場所。マナーを守って見学しましょう。かなり老朽化してますしガラスも割れ、所々壊れているため事故になりかねません。
この島で働いていた人たちは敗戦までの間、自分が何を作っているのか知らずに働いていた人も多かったそう。戦争が終わった後にもこの島には大量の毒ガスや催涙ガス、イペリットガスと呼ばれる癌の原因にもなる有毒ガスなどが貯蔵されていたそうです。
そして、以下は毒ガス貯蔵庫跡。
戦争が終わって不要となった毒ガスや化学兵器の処分にもまた、この大久野島が選ばれました。大久野島の島内の地中に埋め込んで処分されたり、上記の毒ガス貯蔵庫などで火炎放射器を使った焼却、周辺海域への海洋投棄といった方法で処理し、除毒措置も施されたようですが、
それは完全ではなかったために、今でも大久野島の島内地下4~5mの土壌では、高濃度のヒ素が検出されているという現状があるのだそうです。
以下は、毒ガス貯蔵庫跡の動画。
いまも負の遺産を抱えている大久野島。この歴史を風化させたくない、風化させてはいけないという住民の強い願いから、1988年(昭和63年)に以下の「毒ガス資料館」が開館。
入口付近に展示されている、当時使われていたと思われる陶磁器製の毒ガス製造器具たち。
大久野島は、負の遺産を土地に抱えるだけでなく、当時 毒ガスを作るために劣悪な環境下で働かされていた工員たちは、今もガスの後遺症で苦しんでいるといいます。
以下は、そんな被害で今も苦しみ続ける人たちを治療してきた医師が記録し続けてきた証言集。
8月15日は終戦記念日。
筆者が子供の頃には「平和学習」や「平和教育」があり、広島県では 夏休み期間中でも8月6日になると登校し、平和や戦争について学ぶ習慣がありました。子供の頃は、毎年毎年 何度も同じ事を聞かされて面倒だなぁ…なんて不謹慎にも思った事もありましたが、
しつこく伝え続けなければいけない理由があるのです。大人になって、その意味が今ならわかります。
悲劇は、たとえそれが自分の国のことであっても、自らが経験していなければ、時間の経過とともに記憶から薄れ、他人事のようになってしまいます。悲劇を経験した人の生の声は、何度も何度も後世に伝え続けていかなければ忘れ去られてしまうのです。
広島県出身の筆者ですが、恥ずかしながら大久野島の歴史をきちんと知りませんでした。
今は、可愛いウサギと触れ合え「ウサギの楽園」とまで言えるようになった大久野島ですが、そういったことをキッカケにこの島に訪れてくれた人達が、大久野島の歴史に興味を持ったり現地に触れることで、平和について改めて真剣に考えたり記憶に留めるキッカケになれたらいいなと思います。
via.毒ガス島歴史研究所/300匹のウサギと出会えるウサギアイランド「大久野島」
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